テオバルド・マーウィンの看取り
通りから子供たちの笑い声が聞こえる。
星の日のこの日、神官トーアは噴水通りにあるテオバルド・マーウィンの自宅を訪れていた。
テオバルド自身はフォンボルク家の出身。
フォンボルク家といえば、我がミリー国では、ミリー女王の長女で初期近衛騎兵のレーナ・ビリンガムの嫁ぎ先。レーナが結婚した初期国民アルバロ・フォンボルクがテオバルドの祖父だ。
初期フォンボルク家は長男アリツ次男アルバロと2人の息子に恵まれていたが、彼らの孫たちはフォンボルク姓を継がなかった。
テオバルドのマーウィン家入りをもって、フォンボルク家は断絶した。
マーウィンといえば、ミリー国においては山岳家。マーウィン姓はテオバルドの妻メリンダのものだ。初期国民でマーウィン家長子のアニタ・マーウィンの第二子レイがメリンダの父。メリンダはアニタの孫である。
メリンダの母は初期国民アイヴァン・ビリンガム(ミリー女王の次男)と初期国民アナベラ・エンドアの娘。
アナベラのビリンガム家入りによってエンドア家は断絶している。
テオバルド・マーウィンの家系図によって、フォンボルク家とエンドア家の断絶時期が明らかになった。
テオバルドの長女ラシェルはアシオン姓を、次女カトリーナはマーウィン姓を名乗っている。
今日だけは死者の魂をワフ虫が導いてくれるような気がする。
あるいはワフ虫の1匹1匹が死者の魂なのかもしれない。