ウルリヒ・マーウィンの看取り
山岳兵の看取りが続く。神官トーアの叔父ウルリヒ・マーウィンが危篤になったのは、マール・エドモンドを看取った翌日のことだった。
ウルリヒ・マーウィンは三代目PCハンナ・ジュガーノフの三男で、山岳ジュガーノフ家から山岳マーウィン家に婿入りし、一生を山の上で過ごした。
祖父レズリー、祖母キラ、母ハンナ、兄カムイル、妻フェリーチェ、そして甥アゼルという歴代の龍騎士を近しい親族に持ち、血筋・実力ともに十分でありながら、ドルムの山の掟のために、ウルリヒ自身が日の当たる名誉を得ることはなかった。もちろんウルリヒはそれを承知の上で、山に生きて死ぬことを選んだのだ。
ウルリヒの妻も兄も姉もすでにガノスに召されていて、妹のハイリ(元4代目PC)だけが、ウルリヒの一生を知る親族である。
探索漬けの生活を送るハイリも、ウルリヒの最後を見届けにやってきた。
ウルリヒ・マーウィンの生き様を心に刻みつけ、トーアは山岳兵団の村をあとにした。
ウルリヒの一人息子ルシアーノがマーウィン家を継いでいる。
4代目ハイリをナーガの使者が訪う日も近い。