ポーラ・ガリカの看取り
ローゼル近衛騎士隊隊長ポーラ・ガリカは、エルネア杯準々決勝戦に現れなかった。
堂々たるステータス。ナーガが彼女を連れて行かなければ、ポーラは龍騎士の栄誉さえ手にできたにちがいない。
ポーラはまた、珍しいローゼルの剣の使い手である。騎士隊員を13年勤めたにも関わらず森で剣がドロップしたことがないのだ。
神官トーアは王立闘技場をあとにし、騎士隊長の居室へ向かった。
彼女もまた、人生最後の日を騎士として生きたようである。
ポーラのガリカ姓は亡き夫ローデリック・ガリカのものであり、その素性と、ポーラの実家のビリンガム姓の系統については、すでに「ローデリック・ガリカの看取り」で記事にしたのでここでは省略する。
ローデリックはポーラが昨年の騎士隊トーナメントで優勝したことは見届けたが、ポーラが評議会議長に就任する姿も騎士隊長に就任する姿も見ることはできなかった。しかしガノスのローデリックはおしゃべりなポーラの土産話を心待ちにしていることだろう。
ポーラ「でね!ローデリックさん!私なんと!あのあと評議会議長に選ばれてね!議会もやってね!隊長がやる陛下に敬礼てやつもやってね!エルネア杯の開会式もすごくてね!あ、あと孫のカリーナちゃんのナトルの制服がかわいくてね!」
ポーラ「でもさ、あと1日生きたかったんだよなあ。そうすれば、山岳兵をボコボコにできたし、孫のポリーヌちゃんの花嫁姿も見れたんだよ〜。そうすればもっとローデリックさんに話すことも増えたのにね!私っていつもちょっと運がないんだよね〜。」
ポーラの孫のポリーヌの結婚式はポーラの葬儀と同じ日に行われた。