ミケーラ・オルコットの看取り
元騎士隊長ミケーラ・オルコットの看取りのために、神官トーアは城下通りC区へ向かった。
ミケーラもまた今までの多くの近衛騎士隊員と同じように、危篤の日にもモフ毛狩をしたのだろうか?モフ毛を抱えて自宅にいた。
騎士としての勤めに「誠実なタイプ」のミケーラさん。
エレクの翼持ち。まさに騎士として生まれたようなNPC。
騎士隊長を務めたこともあるが、マテオ・カラスコにその座を譲り、今は近衛騎士として後輩を指導している。
通算19勝16敗。ミケーラは26歳であるから、少なくとも10歳の頃から選抜リーグに参加し近衛を志していることになる。エルネア杯に出場しない年があるなら、そのぶんだけ10歳よりも早くから選抜リーグに参加していることになる。
夫はロドリゴ・オルコットで、二年前にトーアが看取った。
両手武器をLv.15を超えて鍛えられる、それも剣を鍛えられるNPCは貴重だ。
勇者や龍騎士の称号はなくとも、歴史的な剣士に数えることができる。
長男ドナシファンは下山マーウィン家に、次男ガリコイツはビリンガム家に婿入りした。
初期国民ヘトヴィヒ・オルコットは「みんなのアイドル」で優等生の近衛騎兵だ。
ヘトヴィヒに連なるオルコット姓は、ヘトヴィヒのひ孫ミケーラの死をもって我がミリー国から消失した。
しかしオルコットの名前を王国が忘れることはないだろう。
オルコット家の名誉は、オルコットの名を持ったNPCたちの行動によって築かれ、王国の歴史に刻み込まれた。
オルコット姓は消える。
しかしその血脈は王国を循環し、オルコットの血を受け継ぐ誠実な近衛騎士は、いつか再び私たちの前に現れるだろう。